注目の3歳馬カテゴリーでは今年の3歳クラシックを盛り上げる有力馬達の紹介と共に
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母に携わった人々が夢見る、エアスピネルのクラシック制覇

 3歳牝馬がしのぎを削る、牝馬三冠(桜花賞、オークス、秋華賞)。その熾烈な戦いにおいて、2005年は、長い競馬史の中でも特にレベルの高い年だったと言える。

 一冠目の桜花賞(阪神・芝1600m)を制したのは、ラインクラフトだった。同馬はその後、二冠目となるオークス(東京・芝2400m)には向かわず、牡牝混合GIのNHKマイルC(東京・芝1600m)に挑戦。強豪牡馬を撃破して、牝馬ながら「3歳マイル王」に輝いた。

 そのラインクラフトに代わって、二冠目のオークスで優勝を飾ったのは、シーザリオ。同馬は、そのあとアメリカ遠征を敢行し、海外GIのアメリカンオークス(アメリカ・芝2000m)でも圧勝劇を演じた。

 そして、三冠最後の秋華賞(京都・芝2000m)は、オークス2着のエアメサイアが頂点に立った。シーザリオは不在だったが、桜花賞馬ラインクラフトをクビ差ねじ伏せての見事な勝利だった。デビュー戦から堅実な走りを見せてきた同馬の素質が開花した瞬間だったとも言える。

 それから11年、エアメサイアが母として送り出した息子が、今年のハイレベルな牡馬クラシックで躍動しようとしている。エアスピネル(牡3歳/父キングカメハメハ)である。

昨年9月のデビュー戦を完勝したエアスピネルは、2戦目でGIIデイリー杯2歳S(2015年11月14日/京都・芝1600m)に挑戦した。同レースでは、GIII小倉2歳S(2015年9月6日/小倉・芝1200m)を含めて3連勝中だったシュウジ(牡3歳)が人気を集めたが、その実力馬をあっさり差し切って快勝。ポテンシャルの高さを見せつけた。


3戦目は、2歳王者を決めるGI朝日杯フューチュリティS(2015年12月20日/阪神・芝1600m)に出走。圧倒的な人気を集める中、ほぼ完璧なレースを見せたが、母のライバルだったシーザリオの息子、リオンディーズ(牡3歳)の強襲に屈して2着に敗れた。だが、3着以下には大きな差をつけており、そのレース巧者ぶりを考えれば、エアスピネルが世代有数の実力馬であることは間違いない。

 エアスピネルを管理するのは、栗東トレセン(滋賀県)の笹田和秀厩舎。陣営は、この馬でのクラシック制覇に並々ならぬ意欲を持っているという。関西競馬専門紙のトラックマンが語る。

「笹田調教師は、調教師になる前、母エアメサイアの所属していた伊藤雄二厩舎のスタッフでした。また、エアスピネルとコンビを組んでいる武豊騎手も、母エアメサイアの全レースに跨っていた相棒です。そういった背景もあって、『なんとかこの馬でクラシックを!』と、関係者の誰もが相当な意気込みを見せています。母からは心肺機能の高さを存分に受け継いでおり、『クラシック制覇も夢じゃない』と考えているようですよ」

 今後は、GII弥生賞(3月6日/中山・芝2000m)で復帰し、クラシック初戦のGI皐月賞(4月17日/中山・芝2000m)へと向かう予定。舞台は未経験の中山競馬場となるが、それこそが「エアスピネルには追い風になる」と、前述のトラックマンは言う。

「陣営が一番に挙げるこの馬の長所は、レースセンスのよさ。『折り合いに苦労しないし、乗り手の指示に従順。どんなレースでもできる』と全幅の信頼を置いています。直線が短くテクニカルな中山では、このレースセンスが強力な武器になるはずです」

 前走時484kgだった馬体重は、現在500kgほどまで増えているとのこと。肉体的にも、精神的にも順調な成長を見せているようで、そこにレースの巧さが噛み合えば、タイトル奪取も十分に見えてくる。

 母エアメサイアに携わった人たちが、その息子エアスピネルで夢見るクラシック制覇。リオンディーズとの“因縁”を含めて、「血の物語」とも言われる競馬の醍醐味を、今春存分に味わえることを期待したい。