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【ローズS】樫女王シンハライトが差し切りV 桜女王ジュエラーは惨敗

デイリースポーツ 9月18日(日)15時58分配信


「ローズS・G2」(18日、阪神)

 何とか届いた形の辛勝。だが、直線で一気に追い上げた脚は、さすがオークス馬と思わせるものだった。単勝1・6倍の断然人気を集めたシンハライトが、ゴール寸前で粘り込みを図る伏兵クロコスミアをギリギリ、鼻差だけとらえてV。秋華賞(10月16日・京都)へ向けて、好発進を決めた。

 池添謙一騎手は「ギリギリでしたね」と苦笑い。馬を信じていた。エンジンがかかってからはいい脚。坂を上ってからはかわせるかなと思った。ホッとしている。ひと夏を超えて馬体重も(前走比14キロ増)と増えていたし、いい形で本番へ向かえる」とうなずいた。

 一方、骨折明けとなった桜花賞馬ジュエラーはハイペースの好位を追走したが、直線は伸びを欠き11着。両G1馬が明暗を分ける形となった。

 11番人気で2着のクロコスミア、6番人気で3着のカイザーバルまでが、秋華賞の優先出走権を確保している。

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岩田騎手(クロコスミア=2着) 「返し馬の感触が良かった。出たなりでと考えていたが、ゲートが良かったからハナへ。うまく運べたんだけどねえ。よく頑張ってくれたけど、あそこまでいけば勝ちたかった」


四位騎手(カイザーバル=3着) 「3コーナーで若干ハミをかんだけど、それ以外はイメージ通りに。こんな馬場は良くよくないけど、よく頑張ってくれた。最低限の仕事だけど、権利を取れてリョ良かった」

 内田騎手(デンコウアンジュ=4着)「もう少し軽い馬場の方が、いいように感じました」

 福永騎手(アットザシーサイド=5着)「スピードの乗りは春より良くなっていたけど、最後は伸び切れなかった。距離なのかもしれない」

 和田騎手(フロムマイハート=6着)「重い馬場は良くない感じですね。道中は接触があるなど厳しいレース。それでも盛り返してくれたんですが…」

 ルメール騎手(アドマイヤリード=7着)「後方から進めたこの馬には、ペースが向きませんでした」

 武豊騎手(レッドアヴァンセ=8着)「折り合いがついていい感じで運べたのに、最後は止まった。阪神も重い馬場はよくない。京都の良馬場なら楽しみ」

 古川騎手(フォールインラブ=9着)「勝ち馬の後ろから。この馬なりには伸びてるんですが」

 幸騎手(クリノサンスーシ=10着)「スムーズに運べました。自己条件なら」

 Mデムーロ騎手(ジュエラー=11着)「折り合いがつき、スムーズに運べた。距離は問題ないが、重い馬場は合わない。次に良くなりそうな感じはあった」

 松若騎手(バレエダンサー=12着)「いいペースで運べました。まだまだ良くなりそうな馬ですね」

 藤岡康騎手(クィーンズベスト=13着)「ゲートを出て行かず、あの位置から。道中もハミを取ってくれませんでした」

 浜中騎手(ラベンダーヴァレイ=14着)「短い距離でこその馬ですね」


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2016 ローズステークス(GII) 芝外1800m重
レース回顧・結果

1:46.7 12.6 - 11.2 - 11.6 - 12.0 - 12.5 - 12.2 - 11.7 - 10.9 - 12.0
47.4-46.8M


 ペース自体は平均の範囲内なんだが、馬場が重ということで各人適正ペースが読みにくかったのかなということと、中弛みもあったことで仕掛けが遅くL2最速10.9はかなり早いなという感じ。ペースが上がったように感じたこと、それによって仕掛けが遅れてという形で2F戦。基礎スピードは問われているけど個人的にはトップスピードの質を意外と高いレベルで要求されたのと、下り坂ではあるが11.7-10.9と結構ギアチェンジも問われたなという印象かな。特にシンハライトが直線入りでもたついたのはこの辺が影響した気がする。


 1着シンハライトは7番枠から五分には出たが積極策を取ったジュエラーとは対照的に無理をせずに後方に下げて進めていく。道中も無理をせずにしっかりと後方で脚を残しながら3角。徐々に中弛みという流れの中でまだ我慢、4角で外から追走もまだ仕掛けずに先にレッドアヴァンセに仕掛けられてそこからの追いだしで直線。序盤で少し接触があったのも確かだがここでの伸びは正直微妙、中団のままでL1徐々に伸びだすと内のクロコスミアに対して坂を登り終えて決定的に伸びを見せる、最後はかなり際どかったが何とか勝ち切った。まあちょっと焦ったけどね。3~4角で動いていっても良かったと思うんだけど、あそこで動かず2F戦の中でトップスピード勝負になったからここで思ったより伸びなかったのは、ギアチェンジ面と質的なものを要求されて前が速い脚を使ったわけだからなかなか詰められなかったというところだろうと。L1でグンと来たようにTS持続はここでは2枚抜けていたと。ただ差し込めたのはL1で前が落としてくれたというのもあるし、個人的には結構危うい競馬にはなってしまったかなと思う。もうちょっと自信を持って3~4角で動いても良かったと思うんだけど、流れた意識が強かったのかなという感じ。いずれにせよ、ペースが上がったようで実際はそうでもなく後半2F戦に近い競馬になったのがちょっと苦戦した要因になると思うね。この馬だけ上り33秒台ということが示しているように、この馬場でしっかりと長く鋭い脚を維持できたのは流石と言って良い。やっぱり強いわ。


 2着クロコスミアは1番枠からまずまずのスタート、各馬が牽制しあっている中で思い切ってハナを取り切りまずはペースを作って行く。序盤はそれなりに速いペースを作っていたが3角手前ぐらいから上手くペースを落として中弛みを誘発。 3~4角でもペースを一気には引き上げずに余裕を持って直線。序盤で楽な手ごたえでスッと反応してアットザシーサイドらを出し抜く脚。L1でも思った以上にしぶとく、カイザーバルの追撃を決定的には寄せ付けなかったがシンハライトの伸び脚急、最後はハナ差捕えられて大金星を逃した。馬場が重い印象だったので消耗戦で逃げ切ったかなと最初は思ったんだがラップ推移を見てもわかるように実はコントロールして仕掛けを遅らせる形で前受からの出し抜きというパターンだった。阪神外回り1800では4角下りからの競馬になりやすいのでなかなか難しいんだけど、重馬場でそこそこ流れていた印象を作れたことで各馬の仕掛けが遅くなったというのが好走要因としては一番なのかなと思う。馬場は違うけど結果的にアルテミスSに近いような感じで中弛みからの再加速の競馬でしかも一番前でやれたというのが今回噛み合った。これは流石というレースメイクだった。まあ馬自体も使える脚の長さそのものには限界はあったし、あまり前半無理をすると崩れるというのもあるのでバランスのとり方が重要だったと思うけど、前受で仕掛けを待てたしペースも結果的にそこまで速くなかった。この辺りを上手く引き出せると怖いね。チューリップ賞でもいい脚を使ってきていたしこの競馬ならジュエラーが沈んだ以上2着は驚けない。ただシンハライトに対してここまでやれるとは思わなかったかな。これは驚いた。ただ本番向きではないと思うので、ここで良い競馬をしたからというのはあまり当てにはならない。淀の2000は使える脚が短いと難しいからなあ。最終的にはマイルが合いそうな感じはするんだけどね。


 3着カイザーバルは3番枠からまずまずのスタート、無理せずじわっとで2列目のポケットと理想的な競馬に持ち込む。道中そこそこの流れから3角手前でちょっとずつ緩んでいく、そういう中でポケットで少し掛かり気味になり3~4角もスペースのないまま最内を通して我慢を強いられ直線。序盤でそこから進路確保で外を意識する間に逃げていたクロコスミアに出し抜かれる。L1でそこからジリッとは伸びてくるがおいていかれた分もあってなかなか詰めきれず、3着までだった。結果論だけど逃げたクロコスミアの直後で我慢していたらもうちょっと違ったかな、という感じ。まああそこで外に出す方が無難だからねあれが悪いとは思わないけど着差と内容を考えると上手くクロコスミアが出し抜いて生まれるスペースを通せていたらあそこまでL2の最速地点で置かれなかったかな。ちょっともったいない競馬ではあったが、まあ権利を獲れたのは良かったと思うしこの馬自身あのペースからコントロールしての再加速でいい脚を使ってきた、TS持続ももともと良いものは見せていて阪神外巧者というのも含めて上手く噛み合ったのかな。


 4着デンコウアンジュは12番枠から五分のスタート、そこからじわっと手を動かして中団外目にはつけていく。道中の中弛みの地点ではまだ我慢、3~4角でも我慢しているうちに外からレッドに先に動かれて蓋をされて直線。序盤でそこから追いだされるが反応鈍く鞭が入る。L1でシンハライトが先に伸びてきて、その後ろからジリッとは脚を使うものの前3頭を詰めるには至らずの4着完敗だった。まあ噛み合わない競馬になったね。展開自体は良かったと思うし、クロコスミア同様馬場は違うがアルテミスSのような平均だが中弛みという競馬。ただ、こちらは中弛みの地点で上手く進路を取れずに先に武豊に動かれてしまってスペースがなくなったのが致命傷だったかな。下がってきた馬の不利も受けたしワンテンポ置かれてしまった、もうちょっと緩い地点で動けていたらというところなんだけど、その辺の意識が薄い内田との相性もあまり合わなかったかな。いつもより前に行ったけど仕掛けが遅れて下げながら直線では結局いつもと変わらないってのがこういう全体の仕掛けが遅いレースでは一番良くない流れ。まあ雨の影響で難しかったのはあるから責められんけどね。馬自身のL1の伸びも決して褒められたもんじゃないしね…サムソン産駒らしい壁にぶち当たってからが辛いなあというのも個人的にはあるかな。こんな流れでスムーズさを欠く騎乗になっても対応はしてくるんだけど器用貧乏だなあ。


 5着アットザシーサイドは4番枠からまずまずのスタート、余裕を持って先行策、2番手を確保する。道中も楽に進めながら3角で少し緩む中で先頭列に並びかける形、4角でも楽な手ごたえで直線に入る。ただ序盤で追いだされてからの反応で明らかにクロコスミアに見劣る。L1まで伸びはなく離されての5着完敗だった。ん~いいスタートを切って逆らわずに番手を取ってくれたし、道中の緩みもあったからそんなに難しいペースでもなかったと思うんだけど、加速していく段階の4角出口から直線入りでの反応が物足りなかった。まあ最後まで伸びがなかったので脚そのものが余裕がなかった感覚かな。この感じは多分距離が長いんじゃないかなあと思う。オークスも悪くなかったけどラストは伸びが無く2400は確実に長いと思うし、今回もラストまで甘かったのでマイルまでなのかな。


8着レッドアヴァンセは5番枠から五分のスタート、ある程度出していくような感じで進めていたが結局は中団馬群の中でという形。道中も中弛みがあり3角辺りでは前がじわっと落とす中で中団の内目から徐々に外に誘導、4角で馬なりでラベンダーヴァレイ辺りを目標にして並びかけていきながら直線。序盤で追いだれてからの伸びが手応えほどなくジリジリ。L1ではあっさり下がってしまって勝負の舞台に上がれずの8着完敗だった。この馬も距離…という感じはするんだけどね。一瞬の反応の良さ、加速していくまでは良いんだけどトップスピードの質そのものではちょっと見劣ってしまった感じだし、TS持続はイマイチ。追いだされてから伸び切れなかったのはその辺かな。機動力がある馬だし今回出していって中弛みがあってもコントロールできていたし、もうちょっと前を意識できればいいんだけどね。血統的にもマイル以下で試してもいいと思う。この路線ではちょっと差があるかな。


11着ジュエラーは6番枠から五分には出てそこから今回は割と積極策、好位につけていく形になる。最序盤は少し掛かっていた感じで前に馬を置いて壁を作りながら進めていく。道中徐々にペースが落ちていき中弛み、好位の内ポケットで我慢を強いられる。3~4角でも進路がない状態で3列目の内内から直線に入る。序盤でそこからスッと外に進路を取るのだが先にレッドアヴァンセに並びかけられ、反応もイマイチ。L1ではシンハライトらにあっさり交わされて最後は失速しての11着惨敗だった。


 骨折明けに+10kgという馬体増がどう影響したのか、と言った面はもちろんある。ただ、このレースの話だけで考えると、最序盤脚を使った割に結局のところは後方との馬と比較しても4角の地点ではそう差のない位置でという感じになった。また加速し動きだしていくところで前が壁になったわけで直線に入ってから11.7-10.9と急激に加速しているところでようやく進路確保。これまでのこの馬のパターンを見ても直線までに上手く持って行って末脚を炸裂させてきたわけで、先行策で中弛みに巻き込まれてペースをコントロール、そこから一気に加速してという形になって持ち味のTS持続を引き出せなかったかな、という感覚もある。まあ擁護というわけではないけど、恐らくこのレースでは最初から先行策があって、こういう競馬を試したかったというのはあるかもしれない。


 ハイペース自体はシンザン記念でもやれていたわけで、自分のペースを守ることと順を追って加速してやる必要があるのかなという気はする。府中だとあまり合わないタイプかもしれんね。ただ本番の秋華賞そのものは悪くないと思う。ネオの系譜だし3角の下りからの競馬になるわけだしね。仕掛けのポイントが早くなるというのはいいはず。後はとにかく前半は無理をしないこと、それをこなして後半にしっかりと勢いに乗せるイメージが欲しいタイプかな。今回を見ると距離だけではないと思いたいけど2000がちょっと長いという可能性は出てきたと


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+++++ポイント結果+++++


3333


4444




2着 11番人気クロコスミア
3着 6番人気カイザーバル

重馬場で荒れた決着になりましたね。


ジュエラー大丈夫かな…